刺激のある匂いを感じエミリオは目を開けた。そして同時に、自分がいつの間にか眠っていた事を知る。膝には毛布が掛けられており、目の前には夕食であろうマーボーカレーを始めとした料理が並んでいた。
「あら、目が覚めたのね」
「……ああ、つい」
「ふふっ、貴方からついなんて言葉が出るのね。毛布はカイルが掛けたのよ?」
「そうか、……カイルは?」
キッチンの方からはロニの鼻歌やジョブスの笑い声が聴こえるが、気配からしてそこには彼等しか居ない。その詳細を求められたリリスは皿を並べながら教えた。
「ユダさんを起こしに言ってるわ、リアラちゃんはまだ目を覚まさないわね。まあユダさんも起きないようだったらそのままにしてあげてとは言ったけど……」
果たしてどうなるだろうか、その答えはすぐに出る。
現れたカイルの後ろには無表情のユダが居た。
「あ、エミリオさんおはよっ」
「ああ……毛布、ありがとう」
「そんな、お礼言われる事じゃないよ」
「フッ……そうか」
謙遜しながらも照れている甥に笑みを溢したエミリオは、表情を変えずユダを見る。目は合ったがすぐに逸らされ、不本意とばかりに溜息を吐かれた。