「あの、ありがとう出してくれて」
「カイル……」
警戒するべき相手に素直に礼を言った事に青年は溜息を吐く。
礼を言われた彼は鼻で笑った。
「能天気な上に図々しくて馴れ馴れしいガキ……それが英雄とは笑わせる」
「むー、だってこういうのは大事だって母さんに言われたし」
「時と場所を考えろ……本当に僕が神団の人間だったらどうする」
「それでも、俺達をこうして出してくれたし、少なくとも敵ではないかなって思うんだけど……」
彼は可哀想なモノを見る眼で少年を見る。それに青年は気付いていたが何とも言えなかった。
「底抜けの馬鹿だという事は分かった、今までよく生きてこれたものだ……」
「へへ、たっくさん修行してきたからね、ちょっとやそっとじゃやられないよ」
「カイル、その返しはちょっとおかしい……それにやられたから捕まったんだろ」
そう指摘されれば少年は苦笑いを浮かべ、2人の青年に溜息を吐かせる。
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bkm
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