「んー……じゃあ、エミリオさんはどうして結婚しないの?」
カイルの疑問は自然な流れだろう。だがそれはほんの一瞬だけ空気を張り詰めさせた。
何とか笑顔を作ったロニは少年をたしなめる。
「あのなカイル、エミリオさんは忙しい人なんだ、結婚してる暇無いんだよ」
「そーそー、結婚しても家族に構ってやれなくなって修羅場になるのが目に見えてる見えてる」
ジョブスが続きエミリオに睨まれるが、カイルの疑問は解消されない。
「でもそれなら、父さんは……?」
当然の疑問、それを考えない方がおかしいだろう。
答えたのは父の妹であるリリスと、母の弟であるエミリオだった。
「兄さんは昔っからああだから、ルーティさんもよく理解してるのよ」
「ルーティもルーティでじっとしてられない性分だからな……スタンを理解するという点では頷かざる得ないだろう」
「困ったものよねぇ、家出して帰ってきたかと思ったらすーぐまたどっかに行っちゃうし……一ヶ所に落ち着けない人なのよね」
「それを考えると、カイルはスタンに似たわけか……厄介な」