呟いたのは意外にもユダ。それはどうやらロニの耳に届いたらしく彼は反論する。
「あのな、顔面レベルの高いお前には分からんだろ、フラれ続きの俺の人生を」
「ナンパしなければフラれる事も無い」
「俺からナンパを取ったら何が残ると言うんだっ」
それは本当に、勢いの言葉だったのだろう。
奇妙で少し切ない空気が流れ始める。
「ロニからナンパを取ったら……?」
「うーん……面倒、見……?」
「……墓穴を掘るというのはこういう事だ」
エミリオの言葉が止めとなり、ロニは崩れ落ちた。
そんな時に戻って来たリリスだったが、沈む青年を全く気にせずテーブルにサンドイッチを置く。
「朝の残りで作った物だけど良かったら食べて」
「ああ、……何をニヤニヤしてる」
「フフッ、貴方が若い子を連れてるなんて珍しいと思って」
「成り行きだ、仕方あるまい」
そう言って彼は若者達を見る。その表情は何処か楽しそうで、同時に悲哀が見え隠れしていた。