「私はリリス、カイルの叔母です。甥がお世話になっています」
「…………」
挨拶にユダは何も返さない。それがロニの癪に触ったらしく顔をしかめた。
「おい、挨拶くらいしたらどうだ」
「そんな義理は無い」
「お前……これから世話になるってのに……」
相変わらずの辛辣や態度に溜息を吐くと、まるで慣れていると言いたげな様にリリスが笑う。
「いいのよロニ、私は気にしていないから。それじゃあ何か軽く食べられる物を作ってくるわね、自分の家だと思ってゆっくりしててちょうだいねー」
明るい笑顔で彼女はキッチンへと消えていった。
すると訪れる沈黙。気まずさを感じたロニが視線を泳がせるカイルに声を掛けた。
「なあカイル、暇だし村を見て回らないか?」
「んー……そうしたいけど、リアラが心配だから……」
「ああ、そっか……じゃあどうすっかな……」
慌ただしかった事が終わり、突然暇を持つと不思議と人は悩んでしまう。