素直に出ていけるわけがない、その考えは極々自然なモノだろう。
しかし少年はその考えには至らなかった。
「行ってみようよロニ、ずっとここに居ても仕方ないしさ」
「……でもよ……」
「大丈夫だよ、多分」
「多分って……まあ確かに、ずっと此処に居ても……何かあるなら向こうから来る可能性もあるわけだしな……」
少年の考えを尊重し、青年は息を飲みドアに手を掛ける。後ろに少年を置き音を立てない様にゆっくりと開けた。
その先は薄暗い廊下、顔だけを出し周りを確認する青年はすぐ側の壁に背を預けている青年を見つける。
「……カイル、油断すんなよ」
「う、うん」
部屋を出た2人は彼を見た。
若く、隙の無い雰囲気を纏っている。一見得物になる物は装備していない様に見えるが、その雰囲気だけで警戒するには充分だった。
ただ少年の方は警戒心の欠片も無いが。
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bkm
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