「エミリオっ、大丈夫!?」
「私は大丈夫だ。ただ連れを休ませたい、部屋を貸してないか」
「勿論よ、さ、来てっ」
早足のリリスにエミリオ等は着いていく。その折り眼にするのは町とは違う緑豊かな風景。
整備されているわけではなく、寧ろ町と比べれば不便さはある。しかし居心地が良いとカイルは瞬間的に思う、それは憧れの父の故郷だからなのか。
だが町である故郷には大好きな家族が居る、どちらが大事かと言われたらやはり故郷だろう。
「皆気兼ねしないでね、夫と娘はノイシュタットに行ってるから私一人だし」
家に到着するとリリスは先ずリアラを背負うジョブスを奥の部屋に案内した。他の者はリビングに通され、リリスが戻ってくるのを待つ。
「エミリオさん、リアラ大丈夫かな……」
「今は目を覚ますまで待つしかないだろうな。……力の使い過ぎが原因ならば、暫く休めば大丈夫だろう」
「そっか……、それにしても凄かったな……船が浮くなんて」