フィッツガルド北部にある村・リーネ。相変わらずのどかなその場所に到着したエミリオ等に村人である男性が声を掛けた。
「エミリオさんにカイルじゃないですか、どうしたんですか?」
「色々あってな、リリスは居るか?」
「ええ、今は畑仕事かな。すぐに呼んできますね」
男性は一瞬だけジョブスが背負っているリアラを見た後、村の奥へと駆けていく。彼を待つ間当然視線はエミリオ等に集まったものの、それは決して不快になるものではない。
その中の1人である女性は心配そうに声を掛けてきた。
「この子どうしたの? 随分顔色が悪いみたいだけれど」
「此処まで来る途中事故に巻き込まれてな、その被害を被った。怪我は無いが、精神的にくるものがあったんだろう」
「まあ……大変だったわね。後で何か元気になる物を持っていくわね」
「ああ、感謝する」
村人の柔らかい対応に少し緊張していたらしいカイルの肩から力が抜ける。
それと同じくして、先程の男性と共に慌てた様子のリリスがやって来た。