「じゃあリムルというのは娘か」
「うん、俺の従姉妹だね。ノイシュタットに行ったら会えるかなァ」
「それは状況次第だろう、呼べばすぐ現れるだろうがな……」
エミリオの呟きにユダは首を傾げる。するとジョブスが笑いながら説明した。
「リムルって子は総帥とスタンに憧れてるからねェ、そりゃ飛んでくるさ」
「……分かりやすいんだな」
「世の少年少女は英雄に憧れるのが自然さ。俺もガキの頃は絵本に出てくる正義の味方に憧れてたなァ」
「お前にもそんな純粋無垢な時期があったのか」
総帥からの冷たい一言にも彼は笑う。
「この人は一体俺を何だと思ってんのかねェ」
「んー……女の敵?」
「甥っ子の方が言葉が異常に鋭い……」
「だってロニが……」
それを言われたら納得するしかない。すぐ傍に未だ想いを馳せている故特に。
そうこうしている内に、彼等は目的地である村を視界に捉える。
「あ、見えてきた!」
「そうだな……リーネに来るのは久しいな」
その足は重く感じていた。