エミリオが目配せでジョブスに下船を指示すれば彼は従い、カイルを連れて船を降りた。
そして甲板に立つ彼は辺りを見回す。
「晶光……船を浮かせる程の力……やはり……」
確証の無い確信を抱いているとロニが戻ってきた。表情は全く変わらないどころか、あの騒ぎなんぞもう忘れたかの様に足取りは軽い。
「行きましょうエミリオさん!」
「……ああ」
船員達に軽く頭を下げ、ロニを先頭に2人は進み久しぶりの地面に足を着けた。足下は砂浜、本来ならばもっと固い場所に降りる筈だったが、それこそ生きているだけで儲けものだろう。
先に降りた3人と合流し、甲板から手を振る船員達に応えてから彼等は緑豊かな大地へと進む。
「エミリオさん、そういえばリムルはノイシュタットに居るんだっけ」
「ああ、闘技場に入り浸っているらしいな。一ヶ所に腰を落ち着けているだけまだマシか……」
「凄いなァ……リリスさんもかなり強いんだよね?」
質問されたのはエミリオ、しかし答えたのは彼だった。