何かに気付いた青年は笑う。


「ま、確かにそれなら説得力は多少あるかもしんねェなァ、この世界を救った英雄だもんなァ」

「でも俺達知ってるだけじゃいよっ、だって俺の両親がその英雄なんだから!」

「ばっ、カイルっ」


 慌てて口を塞ぎ、後ろを向かせ、青年は耳元で少年を叱った。


「その事は他人に言っちゃならねェってルーティさんに言われてんだろっ」

「あ……ど、どうしよう……」

「ったく、お前は……」


 頭を抱えている少年の背中を撫でる青年はドアの向こうに話し掛ける。


「おい……今聞いた事は忘れろ……」

『……随分勝手な頼みだな』


 その返答の後、ドアから小さな金属音が聞こえた。それが解錠音だと2人が気付いたのは数秒経った後。


「……何のつもりだ」

『英雄の子供とやらの顔を見てみたいと思ってな。それにお前達には、僕の口を封じるチャンスが出来るぞ』

「どう考えても罠にしか思えねェんだけどな……!」


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bkm

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