「船長!」
「ん、おお、ジルクリスト殿ご無事で!」
エミリオに気付いた船長手早く指示を出し船員を送ると彼に向き直り、笑いながら首を傾げてみせた。
「いやぁ驚きですな、あのお嬢さん……まるで……」
「皆まで言うな、色々と訳有りだ」
「ええ、ええ、ジルクリスト殿が女の子を連れてるなんて普通なら有り得ませんからな。して、何か……と訊くまでもありませんな、すぐに下船の準備を済ませます」
「気遣い感謝する」
軽く頭を下げれば船長は謙遜し、それからこれからの事を問う。
「宿の手配もしましょうか、此処からなら港も近い」
「ん……いや……私達はリーネに向かう、知り合いの家があるからな。……港は、これから忙しなくなるだろうからな」
「そうですねェ……港から人や資材を借りて此処で穴を塞いでから港に運んで修理して……その間お客さんは港に居てもらって、船の修理か別の連絡船を来るのを待っててもらうんで……まあ、忙しないですよねェ」