「リアラ……?」
流石のカイルでも彼女に近付かない。そうしなければならないと自然と頭が考えていた。
不思議な静寂を保ったまま船はどんどん陸との距離を摘め、ついに波打ち際の上に来た所で巨体がゆっくりと降りていく。そして小さな揺れと共にその身が大地に預けられると光は消え、彼女はその場に座り込んだ。
その瞬間人々は我に返り歓声を上げるが、仲間である5人は急いでリアラに駆け寄る。
「リアラ!!」
「カイル……」
上げられた顔は普段以上に白く、呼吸も荒い。しかし彼女は笑っていた。
「私……皆を、助け……られ……た……」
笑顔が消えた瞬間彼女は崩れ落ちカイルが抱き止める。意識は無く、当然身体に全く力が入っていない。
白い手に触れたユダが告げた。
「何処かで休ませた方が良いだろう……船を降りるか」
「ああ、そうだな」
彼の意見に同意したエミリオは周りを見渡し、船員達から報告を受けている船長を見つけ足を進める。