「水が、引いてく……?」
「何が……」
不自然なのは考えるまでもない。そしてこの状況で海水が引く条件は数える程しかない。
急いでエミリオは外に出て確認する。カイルも続き、その光景に眼を見開いた。
「船が……浮い、てる……?」
その呟きが全てを語る。
船が浮いているのだ。本来なら海の上を進む船が、海から離れ空中を陸へ向かい進んでいる。
「ん……この気配は……」
一先ず助かっていると息を吐いたエミリオは妙な気配を感じた。それを追う様にして甲板の方を見ると、見覚えのある光がそこにあるのを確認する。
「レンズの……晶光……?」
まさかと思いながら光の正体を確認する為に甲板に移動すれば、予想が当たっていた安堵し、同時に疑念を膨らませた。やはり着いてきたカイルは再び驚きの表情を見せている。
光の中心に居るのはリアラ、それを少し離れて人々がそれぞれ驚愕や感動等の様々な表情を見せて静かに見守っていた。その中には他の3人も居たのだが、1人だけ違うモノを宿した視線を向けている事にエミリオは表情を固くする。