返された無言、リアラは自分の鼓動が速くなるのを感じる。そこから我に返ったのは、男の子の泣き声を再び認識した時だった。
痛みもあるが、それ以上に大人達の様子を見て泣いているのだろう。
「……わ……私……」
「…………」
ユダはただ無言で彼女を見ていた。言葉で勇気づけるわけでもなく、ペンダントを握り絞めるその姿を見る。
「出来る……私なら……」
眼を閉じリアラは意識をペンダントに集中した。応える様にペンダントは光を帯びる。
「皆を……助けられる……!」
徐々に海水が攻め入ってくる船底の出入口近くで応戦しているエミリオとカイルは、絶体絶命の状況でも果敢に剣を奮っていた。
「エミリオさんっ、このままじゃ!」
「くそっ、こんな所で……!」
埒が明かないどころか、完全に詰みとなる。どうにかしなければ、脳裏で考えていると船が大きく揺れ2人は壁に手をついた。
そして新たな異変に気付く。