すると間髪入れずユダが動き、ロニの耳元で何かを告げる。直後話を聞いた青年は神妙な面持ちになる。
その時、船首の方から今までにない悲鳴が上がった。見るとモンスターが1匹、ジョブスによって倒され海へ落ちていく。
「くそっ、登ってきたのか!」
ハルバートを握り締めロニは応戦に向かうが、当然甲板は最大のパニックに陥る。
その雰囲気にリアラは呑まれ震えていると、傍で無表情のユダが呟いた。
「リアラ、あの陸が見えるか」
「え……?」
彼が指差す方を見ると、確かに陸が見える。だが泳いでいける様な距離ではないし、ボートも使えない。
言葉の意味が分からず視線を戻すと、小さな声が耳に届いた。
「アレはフィッツガルドの大陸だ」
「う、うん……」
「……力を使え、リアラ」
「……!?」
力を使え、それを聞いた瞬間少女の感覚から周りのパニックが消える。見えるのは、聞こえるのは、目の前の青年だけ。
その青年は茫然としている彼女を見つめ続けた。
「出来るだろう、お前なら」
「ど、どうして……」
「…………」