時間が経つに連れて海水は増えていき、比例してモンスターの出現率も上がる。
応戦を続けながらエミリオは皆に指示を出した。
「水の傍では不利だ後退する! ユダ、リアラ、上に戻って怪我人を診ろ!」
「わ、分かりました!」
「……行くぞ」
来た道を戻る様にユダはリアラと共に駆け、乗客や船員達がごった返す甲板に出ると悲鳴や怒号を2人は訊く。所謂パニック状態に陥っているその場所の隅で泣いている男の子と、その母親らしき女性を見つけたリアラは駆け寄った。
「あ、あの、……あ……」
泣いている男の子の腕が腫れている、何処かにぶつけてしまったのか。
先ずはユダの指示を仰ごうと着いてきていた彼に視線を向けると、別の方向から声が掛かった。
「リアラ! ユダ! 大丈夫か!?」
「ロニ……っ、だ、大丈夫、だけど……」
全体を見れば大丈夫ではない。しかし此処でそれを伝えたら更に周りがパニックになってしまうのではないかと思いリアラは口ごもる。