指示を受けたユダはすぐに駆け出した。人の流れに逆らわぬ様に欄干を飛び越え、戦闘が行われている甲板へ急ぎ叫ぶ。
「そいつは囮だ!!」
船員達が反応しユダを見た。それとほぼ同時にカイルの一撃がモンスターに叩き込まれ頭部は甲板に落ち、胴は海に落ちていく。
討ち取った、そんな空気が流れ掛けた瞬間同じモンスターが3体現れ、その長い胴を船に叩き付けようとした。
「させるか!」
狙いを定め、足を止めずユダは晶術を発動する。
「スラストファング!!」
目標地点付近で具現した真空刃は容赦せずモンスター3体を全て斬り飛ばした。
その3体が最後だったのか次が現れる様子は無く、カイルとリアラがユダに駆け寄る。
「ユダっ、囮ってどういう事!?」
「言葉の通りだ、本体は……」
答えを告げる直前、船がまた大きく揺れた。そして慌てた船員が現れ報告する。
「船底だ! 船底に親玉が!」