武器を持ち船員や客が走り回っている外に出た2人は、欄干に身を乗り出し周りを確認しすぐに異常に気付く。
甲板の方から男達の叫び声と戦闘音が聞こえ、そこへ視線を向けるとまるで巨大な蛇の様な紫のモンスター達がうねっていた。
「アレか、……っ!」
再び船が大きく揺れたが、先程とは揺れ方が違う。そのせいかユダが大きくバランスを崩し倒れそうになった。
エミリオがそれに素早く反応し、半ば抱き抱える様にして支える。
「なっ……さ、触るな!」
焦りという初めて素の感情を露にしたユダは腕を払い除ける様にして離れ、背を向け、自分の胸を押さえた。
突然の事に流石のエミリオも驚くが、揺れる船で我に返る。
「この揺れ、下からか……!」
「下……」
気付いたユダから焦りは消え、普段の表情でエミリオを見た。
「まさかあっちのは囮か……!」
「……私は船底に行く。カイル達は甲板だろう、この事を伝えろ!」
「……ああ」