「俺の事?」
『お前の他に誰が居る。自分が英雄だのと、正に子供の夢物語だな』
「夢物語じゃないよ、現実にするって決めたんだ」
『自らを英雄だ英雄だと言ってるガキがか……世の中ナメきってるな』
青年が反論するより先に少年が問う。それに怒りや驚きは無い、純粋な“疑問”だった。
「俺は、英雄になれないって事?」
『そうだな』
「どうして、俺は英雄になれないの?」
一呼吸の間の後、彼は静かに言った。
『英雄とは、その者の功績に第三者から与えられる称号……自ら宣言してなれるモノではないし、当然なろうと思ってなれる筈も無い』
「ヘッ、分かった様な口を利きやがる……まるで自分が英雄だとでも言いたげだな」
苛立ちが孕んだ言葉にやはり嘲笑が返される。
『僕は英雄じゃない……ただ、英雄と呼ばれるに相応しい人物を5人知っているだけだ』
「5人? ……ハッ、なーるほどな」
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bkm
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