船旅が始まり数日。
「んっ……」
眼を覚ましたユダが始めに見たのは、窓から射し込む太陽光。そして本を読んでいるエミリオ、他の者の姿は無い。
身体を起こすとエミリオは顔を上げた。
「眼が覚めたか、もう昼だぞ」
「……ああ、そう」
特に何事も無く船旅は続いている。カイルはリアラと共にエミリオとジョブスから戦闘訓練を受け、ロニは遂に船内に居る女性全員に玉砕され、ユダは変わらず皆から一歩離れていた。
ベッドで深く息を吐いたユダに、エミリオがグラスに入った水を差し出す。
「今日は随分と遅い起床だな」
「……文句があるのか」
「いや、船旅で疲れが溜まったのではないかと思ってな」
「……船には慣れている」
水を受け止り、ゆっくりグラスを空にした。席に戻ったエミリオはその様子を横目で見ていたが、不意に思った事を口にする。
「お前、出身は何処だ」
「……答える義理は無い」