前向きな少年の言葉、それが叔父の心を揺さぶるなんて事を彼は知らない。しかしそれで良いのだと、周りはそうしてきた。
「眠れるか?」
「うん、寝るのは得意だもんね」
「起きるのも得意だと有難いんだがな」
「あはは……頑張ってみる……」
叔父の指摘に自信無く答えカイルは再び横になる。すると再びエミリオが頭を撫でた。
その時の顔が似てると思いながら少年は眼を瞑る。
「おやすみなさい……」
「ああ、おやすみ」
寝付きの良い少年はすぐに眠った。その寝顔は、少し憎たらしくなる程に父親によく似ている。
「…………」
「総帥……、休んでくださいね」
「……ああ」
代わりになんてなれはしないと、己の中に何度抱いたか分からないそれを肯定するかの様に彼は頷いた。
その頃シャワー室では、“彼女”がやや温いお湯を浴び呟く。
「バルバトス・ゲーティア……千年前にまで、干渉するか……エルレイン……」
護る為ならば、こんな“命”。