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 バツの悪そうな顔をする青年を笑い、エミリオは夜の海を見つめ言った。


「彼女とは、幼い頃から共に過ごしてきた……18年前の事件も、共に解決を目指していた。……なのに彼女の苦しみに気付けず、みすみす死なせてしまった己自身を、私は一生許す事は無いだろう」

「…………」


 過去を語るその言葉をロニは痛い程に理解する。その理解をエミリオは更に理解していた。

 だから忠告する。


「だからといって、自分の命を投げ出す様な選択肢を選ぶ事は御法度だ……周りに同じモノを背負わせるだけだからな」

「……はい」


 それから2人の間には沈黙が流れ、海と風の音が際立つ。空を見ると、雲が少なく星も月もよく見えた。

 数分程の沈黙を破ったのはエミリオ。


「私は部屋に戻る、お前はどうする」

「もう少し、此処に居ます」

「そうか……身体を冷やさん様にな」

「はい」


 ややぎこちない会話を交わし、エミリオは部屋へ向かいドアを開けた。中は暗く、ジョブスがテーブル置いてあるライトだけが点け地図を見ていた。


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bkm

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