彼の言葉にロニは既視感を覚えたが、それが何なのか分からないまま話に耳を傾ける。
「それが変わったのは、アイツに身を挺して助けられた時だったか。コイツはこういう男だと理解すると、不思議と隣に居る事が苦痛じゃなくなった」
「じゃあ、その頃からお2人は親友になったんですね」
「そう……かもしれないな。アイツが居なかったら私は……生きてすらいないかもな」
“生きてすらいない”、その呟きが今までで一番悲し気だった。
それを見たロニは“あの話”を思い出し、一瞬訊きそうになったがすぐに口をつぐんだ。しかし様子が変わった事に気付いたエミリオは問い掛ける。
「どうした、何か訊きたい事でもあるのか?」
「いや、あー……えっと……」
否定するべき所で否定出来ず、これでは訊くしかないと自分の不甲斐なさをロニは呪いながら訊いた。
「その……その輪の中に、エミリオさんの大切な人とか居たのかな……なんて……」
「……ルーティか」
「はい……黙っとけって言われてたんですけど」