困りながらも意見を曲げない少年に今度こそ皮肉を籠めた笑みを向ける。だが彼にそれは意味は無く、それどころか笑顔にした。
「ほら、一緒にご飯食べよ、すっごい美味しそうだよ。ワインもあるんだけど、ユダってお酒大丈夫?」
「好んでは飲まん、付き合えっていうなら別だがな」
「んーどうだろ、ロニはお酒で失敗したって言ってた事あったから飲まないかも……エミリオさんは、母さんが“アレの見た目に騙されちゃいけない、ザルなんてもんじゃない”って言ってたけど、どういう事なんだろ」
「……幾ら飲んでも酔わないって事だ」
遠い眼をしているユダだが、初めて知った叔父の事にカイルは眼を輝かせ気づかない。
「凄い……何か訓練とかしてるのかな……!?」
「コレばかりは体質だろう……。行くぞ、ロニが全部食うかもしれん」
「うわっ、ありえる! 早く行こ!!」
慌てて駆け出した彼を追いユダは早足で部屋に向かう。
「……船には酔うのに酒には酔わないのか……」
自然とそう呟いた。