「凄いねエミリオさんっ、船の上でもこんなご飯作れるんだ!」
「レンズが使えない分昔と比べると効率は悪いが、海水での水の供給が安定しているからな。その分積んでいる真水を料理に使え、美味い物が作れる」
「昔は部屋にシャワーとか着いてたりしてたけど、料理の方が数百倍大事だもんな。シャワーなんかは共同で充分だし」
エミリオとジョブスの説明に興味津々なカイルだったが、ふと表情を曇らせた。それが何故なのかすぐに分かったロニが背中を押す。
「よっしカイル、ユダの奴呼んできてやれよ。流石にメシ抜きってのは可哀想だし、な?」
「ん……うんっ、エミリオさん、行ってきていい?」
「ああ、出来るだけ手短に済ませろよ」
「はーい!」
彼らしい笑顔で部屋を出て行ったカイルを見送り、リアラは呟いた。
「何か、カイルって凄い……」
「ん、何処がだ?」
ロニが訊くと彼女は少し感慨深そうに答える。
「普通は、あんな風な言われ方したらもっと落ち込んで、悩むじゃないかな……って」