「いや、アイツの笑い方エミリオさんに似てないだろ。ニヒルっていうか、皮肉っていうか、あまり良い印象無いぞ」
「いや、そうじゃなくてさ。前に会った時一瞬だけ見たんだよ、凄い優しそうに笑ったの。それがエミリオさんに似てるなって」
「えー……気のせいじゃねェのか?」
「そんな事無いよ、俺眼は良いんだからっ」
眼が良いか悪いかは別として、エミリオとジョブスは横目で視線を交えた。エミリオの方は変化は無いが、ジョブスの方は少し驚愕している。
小声でジョブスは呟く。
「子供の洞察力は侮れないとは言いますが……“過去”だけではなく、“今”もというのは……まさか……」
「奴か私の隠し子とか言ったら海に捨てるぞ」
「くっ、ボケを潰された……! 恐るべし先読み……!」
「何年の付き合いだと思ってるんだ……」
呆れるエミリオは、ユダについて討論を繰り広げている若者達を見ながら続けた。
「ユダの年頃を考えれば、わざわざ地上人を毛嫌う“あの男”がその時期に子供を作る理由が無い……。当然私も心当たりは無い、10代の時間は全部戦乱の後始末に使った」