とにもかくにも、リアラの表情が最初に比べ明るくなっているのは良い傾向だろうとエミリオは考える。
そしてその視界の隅でロニが屈強そうな男に連れていかれた事も、敢えて触れずにおこうと決めた。
「2人共、私は部屋に居る……何かあったら呼べ」
「うんっ、分かった」
様子から察するに恐らく2人は暫く部屋には戻らないだろう。周りに大きな迷惑を掛ける事も無いだろうと信じ、部屋へと向かった。
「まったく、無邪気なモノだな……」
その“無邪気”を重ねて見てしまうのは良くない事だと思いながらも、その姿に“彼”を見てしまう。何時からこの足は止まっているのか、今更思い出す必要も無い。
溜息を1つ溢し部屋に入ると、6人で寛ぐだけなら充分な広さがあるその中でジョブスが1人でテーブルに世界地図を広げていた。他に人の姿は無い。
「ジョブス、ユダはどうした」
「出てったきり戻って来てないですね。酔って何処かで風に当たってるんじゃないですか?」
「そのネタあと何年使う気だ」