叔父の言葉の意味が分からないまま、言われた通り歩きながらカイルは荷物の確認をする。鞘には剣があり、腰には道具入れと戦闘用のレンズ、念入りに確認し問題無いと判断した。
そして顔を上げると、そこには海が広がっている。港なので当然停泊している船があり、荷物が少々乱雑に置かれ、潮風の中で人々が行き交う。
その光景にカイルだけではなく、リアラも眼が奪われていた。
「そういえば俺、海には行った事あるけど、船に乗るの初めてかも」
「私も……港って……こんなに活気があるモノなのね」
自然に呟かれた言葉だったが、エミリオはそれに違和感を抱く。港に来た事が無いのなら極々自然なモノである筈なのに、聞き流す事が出来なかった。
しかし今は出航の時間が迫っている。船から降りて客船を見上げている船長に早足近づき、声を掛けた。
「船に乗りたいが、部屋はあるか? 6人なんだが」
「ん、おお、ジルクリスト殿、部屋は1つだけなら空いとりますよ。ベッドは4つしか無いんですが」
「そうか……確か、1人400ガルドだったな」
「えっ、そんな……、ジルクリスト殿からお代なんぞ……」