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 胸を張って彼は何を言っているのか、グリッドやジョブスを除く周囲の反応は冷たい。

 その中でリアラが素朴な疑問をぶつける。


「それって……女心が分かってないって事なんじゃ……」

「…………」


 動かなくなったロニを放置し、エミリオはカイルに持ち物を渡す。ロニの分はカイルが入れてあげ、ジョブスが宥めた。

 様々な不安を感じながらエミリオはグリッドに軽く頭を下げる。


「助かった、暫くはコレで大丈夫だろう」

「なーに、エミリオ殿に俺達は世話になってるからな。何かあれば何時でも呼んでくれ、俺達“漆黒の翼”は世界の果てだろうと駆け付けてみせる!」


 ポーズを決めるエミリオよりも歳上の男、当然周りから注目が集まる。ついでにカイルがかなり食い付いていたが、それをエミリオは見て見ぬフリをした。

 募る不安に溜息が零れそうになると、口を閉ざしていたユダが告げる。


「そろそろ船の時間じゃないのか?」

「む……そうだな……」

「ふむもうそんな時間か……ではサラバだ! 俺はいざハーメンツヴァレーへ!」


 意気揚々と去っていく背中を暫し見送り、エミリオも歩き出した。


「行くぞ」

「あ、はいっ」


 本当に、“昔”の様な。


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bkm

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