そこへロニが、彼に正論をぶつけた。
「あのな、どっか行くなら一声掛けるのが基本だろ」
「一声掛けずに捕まった奴に言われたくは無いな」
「う……」
痛い所を突かれロニは押し黙る。
ユダは溜息を吐いたのだが、意外にも皆から離れた理由を話し始めた。
「町を見て回っていたんだ……持ち物を揃えたり、“面白そうな話”がないか調べたりな。だがハズレだな、出てくるのは“エルレインの話”ばかりだ……“それ以外”の話なんて出てきやしない」
「……! お前……」
何かに気付いたロニだったが、何も言わない。カイルとリアラは気付いていないのか心配そうに2人を見ている。
その沈黙を短く終わらせたのはエミリオ。
「神団の町だ、聖女の話で持ちきりなのは当然だろう。……無断で勝手な事はするな、集団行動での最低限のルールだ」
「そうか、なら今度からは一声掛けてからにしよう……総帥サマに迷惑は掛けられんからな」
「…………」
不適な青年からエミリオは視線を逸らす。