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「アクアヴェイル製ですって、なかなかいい感じですよ」

「ふむ……」


 鞘から抜いた剣をエミリオは見つめ、そしてすぐに収める。表情は変わらないが、雰囲気から察するに満足そうだ。


「良い品だ、請求書は本社に送っておいてくれ」

「承知だ。しかし随分と人数が多いな、しかも若い」

「社会勉強させようと思ってな」


 剣を腰に携えながら彼が言うと、グリッドは感心したのか些かわざとらしく頷く。


「流石だエミリオ殿、若者に必要なのは経験だからな! いやー、世界中を旅していたのがつい昨日の様だ!」

「……経験は大事だな、本当に」


 高らかに笑うグリッドを見ていると心の底からそう思った。

 そこへ、居なかった顔が戻って来る。最初に気付いたのは他国の工芸品を見ていたカイルだった。


「ユダ! ドコに行ってたの?」

「べつに何処でもいいだろう……」


 駆け寄る少年に素っ気ない態度を取る彼に、自然と皆の視線が集まる。彼は全くそれを気にしていない様だが。


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bkm

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