しかしふと顔が1つ足りない事に気付きロニに訊く。
「そういえばユダは?」
「え、あれ……さっきまで近くに居たんだが……」
どうやら気付いていなかったらしく、ジョブスの問いでカイルとリアラも周りを見渡した。
近くには見当たらず、ロニは舌を打つ。
「アイツ……!」
「まあまあ、彼処まで総帥に意見したんだ、勝手に消えるって事は無いだろ」
「そうですかね……」
「そうなのそうなの、そこそこ生きてきたから結構人を見る眼はあると思うよ、俺は」
飄々とした言葉だが、かなりの自信を垣間見る事が出来る。
その自信に同意したのはカイルだった。
「うん、ユダ買い物に行っただけじゃないかな? 自分の物は自分で何とかするって言ってたし」
「確かに言ってたけどな……気にし過ぎかねェ」
「ま、いざという時は年上に任せなさいってな」
ロニの背中を叩きジョブスは余裕の笑顔で笑う。しかしロニだけは、その笑顔の裏にある神妙なモノを感じ何も言わず頷いた。