妥当と言える話、しかし彼女は大きく首を横に振った。
「だ、駄目ですっ、これからお世話になるのに……えっと……出来る事を、頑張ります」
「ああ、出来る範囲でな。何処かの誰かの様に無理に背伸びはするな」
その“何処かの誰か”が誰を指すのかは、指された本人以外すぐに察する。そして気付かない本人はリアラに微笑む。
「無理をするのは馬鹿がやる事だって、エミリオさん言ってたしね」
「……う、うん」
リアラは苦笑いしか出来ないが、案の定その理由にカイルは気付かない。呆れるロニが小突き、フィリアやジョブスも思わず笑みを溢す。
ただ、壁に背を預けているユダだけは全く表情を変えていなかった。それどころかエミリオを見て溜息さえ吐く。
「僕は自分で揃える、貸しを作るなんてゴメンだ」
「お前がそう言うなら私は構わんが……持ち合わせは大丈夫なのか?」
「お陰様で、レンズでそこそこ稼がせてもらっているからな。一人旅くらい問題無い」
「……そうか、ならいい」