溜息が大きい青年だが、少年の笑顔は全く変わらない。
「何かさ、運命的だと思わない!? 俺達が探してたレンズから女の子が出てきて、しかもその子が英雄を捜してるなんてさ!」
「まあなあ……ってお前、まさか……」
目尻を引きつらせる青年に少年は大きく頷いた。
「俺、もう一度あの子に会いたい! 会って、俺が英雄だって事教えるんだ!」
「“貴方は違う”ってハッキリ言われたじゃねェか……」
「それは会ったばかりだからだよ。だからもう一度会って俺を知ってもらえば、俺が英雄だって事を分かってくれる筈っ」
「かー……スゲェ前向きな考えだな……」
深い溜息を吐く青年だが、すぐに口角を上げる。視線は少年に向けられていた。
「でも嫌いじゃないぜ、そういうの。お前はポジティブなのが取り柄だしな」
「えへへ……」
「そこで照れるのもお前らしいっつーかな……。ってわけで、俺も乗るぜその話に」
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bkm
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