エミリオが戻っている事に気付いているだろうが、フィリアは丁寧に教えた。
「ソーディアンに宿された人格がマスターの代わりにソーディアンを制御する事で、人間の手でレンズの力を引き出す事を可能にしたのです。ソーディアンが素質がある者にしか扱えないのはそれが所以……ソーディアンの人格も人間ですから、相性が良くなければ戦闘に支障が出てしまいます。自分勝手な人がマスターになってしまっては大変ですから」
「なるほど……じゃあフィリアさんは、クレメンテと相性が良かったんですね」
「はい、先生と生徒という関係ですね。……たまに、ちょっとアレでしたが……」
不意に遠い所を見た彼女に若者達は首を傾げたが、エミリオとジョブスは“お前が言うな”と言いたかった。面倒な事になりそうだった故に止めたが。
「カイルさんは、晶術が苦手と仰有っていましたね」
「は、はい」
「ですが、カイルさんは充分レンズの力を引き出す素質がありますよ。カイルさんは自分の武器を用いて瞬間的に晶力を具現化していましたが……誰かに教わりましたか?」