「え、あの子等全員連れてくんですか……!?」
騎士長への報告を手短に済ませフィリアの部屋へ戻る途中、決まった話を聞いてジョブスは驚きを隠せなかった。
「そりゃまた……思い切りましたね」
「融通が利かない所は父親そっくりだ……」
「俺は構わないですけどねェ、ストレスで船酔いしたりしないでくださいよ?」
「船酔いなんてここ10年しとらん」
そうハッキリと言うエミリオだが、ジョブスの方は不安を拭えないでいる。
「ならいいんですけどね……総帥動いても大丈夫なんですか?」
「その言葉をそのまま返してやろう」
「俺はヤワな鍛え方してないんでー」
まるで茶化す様な口振り、しかし不意にその雰囲気は消えた。
「らしくない戦い方をしましたね」
「私だって人間だ」
「じゃあ、あの男は人間じゃないですね」
「……人外なんぞ、天上王で充分だというのに」
苛立ちを孕んだ言葉を呟いて、エミリオは部屋のドアを開ける。