ハイデルベルグがあるファンダリアはセインガルドとは陸続き、だがノイシュタットを経由という事は船に乗る必要があり、かなりの遠回りになる。
早くウッドロウに会いたいであろうリアラは、数秒の熟考の後に頷いた。
「私はそれでも構いません……ウッドロウ王に会えるのなら」
「では決まりだな……ユダ、異論は無いか」
「……べつに何も」
素っ気なくユダは返すのだが、背けた顔には複雑そうな色が見える。
それに気付かないカイルは子供の様に――実際子供だが――はしゃぐ。
「ありがとうエミリオさん! ユダもありがとう!」
ユダに駆け寄り感謝を行動で表す少年。当然相手は迷惑そうに適当にあしらっている。
その間にリアラがエミリオとフィリアの前に立った。
「あの、何て言ったらいいのか……その……ありがとうございます」
「良いのですよ、リアラさんの探し物が見つかる様に祈っていますわ。何か困った事があったら、リオンさんに相談してくださいね」
「は、はい」