「ったく……ちったァ、コッチの言い分も聞きやがれってんだ!」


 褐色肌の青年は固く閉ざされたドアに向かい叫び、そして大きな溜息と共に冷たい石床に座る。その傍では金色の髪が真っ先に印象に残るであろう少年が、胡座をかき視線を床に落としていた。


「くっそ……物置なんかに閉じ込めやがって……まあ、あの状況だし、教会の下に牢屋があってもおかしいけどよ……。得物は取られたし、レンズは取られてないが晶術使おうにも静かにってのはな……」


 今は使われていないテーブルや椅子等が積まれた周りを見渡した後、肩を落とす青年は少年を見る。彼は顔を上げず、ただただ黙っていた。


「……おい……カイル? どっか痛むのか? まさか、アイツ等に殴られた所が……!」

「……ふふっ」

「へ?」

「あははははは!!」


 顔を上げた少年は笑いだし、その様子に青年は更に肩を落とす。


「打ち所が悪かったか……」

「ねえロニ! 聞いた!? あの子英雄を探してるんだって!」

「ああ聞いた聞いた。レンズといい、女の子といい、ったくどうなってんだか……」


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bkm

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