「いいえ、そうではありません」
まるで慈母の様に英雄は告げる。
「私が英雄と呼ばれる事になったのは、単にソーディアンがあっただけじゃない……もっと大切なモノが、傍にあったからです」
「そ、それって何ですか……!?」
英雄の要因となったモノ、それを知りたいリアラにフィリアは優しい笑みで教えた。
「“仲間”ですよ」
「……仲、間……?」
「ええ、仲間です」
予想外なモノだったのだろう少女は少し惚けている。少年の方も驚いていた。
「私を信じてくれる仲間が居たから、私は諦めなかった……私も仲間を信じ、前を向き続けた……ソーディアンも、大切な仲間だった。どんなに力があっても、独り善がりでは何も成す事は出来ません。あの決戦で私はそれを、痛感しました」
「独り善がり……」
何かに気付いたらしいリアラは俯く。
「共に支え合える仲間、それが私達の力の根源かもしれませんね。……ね、リオンさん」
「ん? ああ……そうだな」