力を求める少女、しかし少年はやはり不思議そうにしていた。
「でもエミリオさんを助けてくれたのはリアラだよ? 凄いよ、一瞬で治しちゃうなんて!」
「こんなのじゃ駄目よっ、全然駄目……!」
純粋な言葉をリアラは首を振り否定した。その表情は少女という外見に似合わぬ程に追い詰められている。
「力があったらそもそも怪我なんかしなかった、誰も痛い思いをしない、哀しい思いもしない。……でも、私は誰も守れない……誰も救えない……こんなちっぽけな力じゃ……」
「リアラ……」
己の全てを否定するリアラに対して、何故かカイルは得意気に表情になった。
「あのさ、昔母さんが言ってたんだ、“反省はしてもいいけど、後悔はするな”って」
「え……? ……どういう、事?」
言葉の意味が分からないリアラが首を傾げれば、更にカイルが得意気になる。
「ああすれば良かったこうすれば良かったって考えても起きた事は変えられない。ならそれをバネにして、次に向かっての努力に変えるんだ。例えば……テストの勉強とか?」