余裕が垣間見える“大人の対応”にユダは反発の眼を向けるが、相手の態度は変わらない。
「私と来い、お前もバルバトスに顔を知られているんだ、互いに奴から身を守る事を考えた方が良い。私は殺されるのはゴメンだし、私達を助けた恩人が殺されるのもゴメンだ……お前がバルバトスを退けさせる実力があるなら、尚更」
「…………」
俯く青年、恐らく迷っているのだろう。
エミリオはそこへ質問をぶつける。
「お前はこれからどうするつもりだ」
「…………」
彼は沈黙を保ったまま、顔を上げる事もしない。
「行動を共にすれば、少なくとも忍び込むなんていう危険を犯す必要は減ると思うが」
「……僕、は……」
今までの強気な発言は何処に消えたのか、青年は少し弱々しい。
しかしそれは、慌てた様子のロニが戻って来た瞬間終わった。
「危ねー……自分が神団騎士だったの忘れてた……」
察するに彼を知っている神団騎士に見つかる寸前だったのだろう。