それは容易に想像出来る事。表情が重いエミリオは最善の為の策をフィリアに伝えた。
「お前はダリルシェイドに行きドライデン様に報告し、自分の保護を求めろ。そしてウッドロウとルーティに書簡……出来るなら、ルーティはダリルシェイドに呼べ」
「カイルさんはどうしますか……バルバトスに顔を覚えられています……」
「私の方で何とかする。……ルーティも、それを望むだろう」
「……そう、ですね」
フィリアの表情には悲痛が見える、その理由はエミリオ自身がよく分かっている。
だが、彼は下を向くわけにはいかなかった。
「ユダ、お前は私と来い」
「何……?」
それは“申し出”ではなく“命令”。当然ユダは驚き、そして訝しげな眼を向ける。
だからエミリオは鋭い眼で自分の命令の正当性を話した。
「聖女について調べているなら私に協力しろ」
「僕を信用する気か? もしかしたら聖女側の間者かもしれんぞ」
「間者ならば尚更、見えない所で動かれるより私の監視下にある方が良い。無理矢理聞き出す事も出来るからな」