彼の話は筋が通っている、だからエミリオもフィリアも焦りを見せている。
フィリアは小声でエミリオに伝えた。
「あの男は私とエミリオさんを狙っていました……まさかエルレインが、英雄を亡き者にしようとしている……?」
エミリオも同じ声量で返す。
「エルレインがレンズを集めている、それを真っ先に疑うのは間違い無くレンズの恐ろしさを知る私達だ。だから、行動される前に手を打とうと考えたのが自然……だが……」
隻眼に宿る感情は非常に重い。
「バルバトスは……あの時……」
「……英雄の存在……利害の一致……と、考えられますね」
「ああ……奴が聖女と繋がっているとしとも、必ずしもエルレインの命令だけで動いているわけじゃないだろう……」
何か確信に近いモノを感じさせる言葉の中には、言い表せない激情が潜んでいる。その激情の“名”を知るフィリアは確信故の不安に気付く。
「英雄が狙われているとしたら、ルーティさんとウッドロウさんは……!」