「聖女について調べる為に、この神殿に、と」
「ああ、奴には“借り”があるからな。……面倒な事に巻き込まれたが」
聖女が狙いなのならば今吐いた溜息も理解出来るというモノなのだが、彼は低い声で言った。
「だが、お陰で面白い事が分かった……バルバトス・ゲーティア、奴は恐らく聖女と繋がっている」
「何だと……!?」
語られた内容にエミリオは思わず腰を上げ、フィリアは驚愕している。
それも当然だろう、民が崇拝する“聖女”と殺人を楽しむ“狂者”が繋がっているなんぞ、普通ならば考えられず、聞いても信じられない内容。
だが、2人の英雄はそれとは違った。
「……2人が繋がっていると、何故そう思う」
疑念ではない、確実な証明を得たいが為の問い。ユダは、数秒の間を空けた。
「……1人で多を圧倒するバルバトスのあの強さは、恐らく聖女によるモノだと僕は踏んでいる。奴は奇跡を体現出来る、人間を強化するくらい雑作も無い筈だ」