察しの良いジョブスはすぐに行動に移る。
「あーっと、カイル君にロニ君にリアラちゃん、どっから神殿に入ったか教えてくんない? 神殿の警備が不十分って証明されちゃったわけだしさ」
「あ……は、はいっ」
「わ、分かりました……」
「ありがとねー。あ、そんな緊張しなくても大丈夫だって、君等のお陰で助かったってのもあるんだから」
緊張を解そうと少しわざとらしく彼は笑い、その様子をロニに苦笑いされながら3人を連れて部屋を出て行った。
室内に残ったのは2人の英雄と、身分を明かさぬ青年。
「人払いはしたが……答えてくれると期待してもいいんだな?」
不詳の身でありながら望んだ無言の意を叶えたのだ、答えなければ立場が悪くなるのは彼自身分かっているだろう。
厳しい視線のエミリオと、優しい視線のフィリア、その前で無表情のユダは口を開いた。
「僕は、聖女エルレインについて調べている」
“神団”ではなく“聖女”と言った彼にエミリオは眼を細める。