そう言われて思い出したのかユダは頷く。

 それからすぐに部屋に到着し、先程と変わらぬ面々が2人を迎え入れたのだが、途端にカイルがユダ手を取った。


「ありがとうユダ! また助けてくれて!」

「……たまたま、通り掛かっただけだ」

「ふーん、たまたま、ね」


 ロニが何気無く呟くがユダはそれに対し反応はしない。

 何時まで手を握るカイルを軽く振り払うと、エミリオが声を掛けた。


「私はオベロン社総帥エミリオ・ジルクリストだ。ユダ……と呼ばれているそうだが」

「名乗る名前が無い、そうしたらコイツがそう呼び始めただけだ」


 エミリオに向かって眼も合わさずに返されたやや鋭い言葉、初めて見た彼の雰囲気にカイルは少し驚く。そんな彼の肩をロニが叩き、共に壁際に移動した。

 場は1対1の状況に整えられる。


「名前に関しては何も言わないでおこう。何故、この神殿に?」

「…………」


 問いを受けたユダの眼が一瞬カイルやリアラを見た。気付いたエミリオはジョブスに眼で指示を出す。


prev next

bkm

[back]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -