そしてロニが気付く。
「あれ、それじゃあユダもじゃねェか? 此処に不法侵入したの……」
「あ、そっか、ユダは神団の人じゃないもんね」
聞き覚えの無い名前だが、誰を指していているのかエミリオはすぐに理解する。
「ユダというのは、礼拝堂で手当てをしていた青年か?」
「うん、ちょっと色々あって神団に捕まった時に助けてくれた人なんです。だから2回目かァ……ユダが居なかったら今頃……」
“運が良かった”、それは“彼が現れたから”と言い換えてもいいだろう。そう、彼が現れた時には意識が無かったエミリオはカイルの言葉から感じ取る。
だがそれ以上に“何か”が引っ掛かる、それを自覚する隣でジョブスが突然声を上げた。
「ああ思い出した! ダリルシェイドで会ったんだっけ!」
「どうした急に……」
「いえね、あのユダって子と俺も会ってるんですよ。今日総帥を呼びに行く途中、ダリルシェイドの中で。確かレンズの回収窓口探してたんだっけ……」