エルレインがレンズを集めていると仮定すれば、今は自分の中で納得が出来る。
そして人々の幸せの為、その為にレンズという危険を孕んだ物質を集めているのならばその用途は一体何なのか。
「……でも……ふむ……」
1つずつ問題をクリアしていくのが今は最良の選択。しかし“今”のままでは動く事が出来ない。
それに確かめずにはいられない事もある。
「……少しくらい、なら……」
きっと、そう彼女は自分に言い聞かせた。
「総帥、アタモニ神団からお手紙が」
「ああ、そこに置いてくれ」
「はい」
部下は書類の山が出来ている机に封筒を置き部屋を出た。
左目に眼帯を付けたオベロン社総帥は、それから少し経ってからペンを置き封筒を開く。
「……やはり、レンズはエルレインが管理か……」
内容を確認し手紙を置いた彼は小さな溜息を吐き、窓の向こうの夕暮れ色の空を見る。
「何者だ……聖女エルレイン……」
英雄は、見えぬ不穏に低く呟く。
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bkm
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