「俺達実は、その子を捜してたんです!」
「は? ……リアラを、か?」
カイルが視線を向けたのは間違いなくリアラ。若者2人以外の全員が驚いている。
「その子とはラグナ遺跡で会ったんだけど、“英雄を捜してる”って言って行っちゃって……もしかしたら、フィリアさんの所に行くんじゃないかなと思って。そうしたらハーメンツヴァレーで偶然会ったんだけどまた何処かに行っちゃって……でも間違い無くフィリアさんに会うと思って神殿に忍び込んだんです!」
「お前……」
何処ぞの飛行竜密航者を見ている様だと思いながらエミリオは溜息を吐く。ついでにロニも、馬鹿正直な少年に脱力している。
そしてフィリアは微笑んでいた。
「カイルさんは行動力がある方なんですね」
「いや普通に犯罪ですよフィリア女史……って、それ言ったらリアラちゃんは何で神殿内に? 親御さんと一緒に来たとか?」
ジョブスの素朴な疑問に、リアラは床を見た。まさかと皆が思っていると、それは現実になる。
「わ、私も……ちょっとだけ、お邪魔するだけならと思って……」
「……神殿の警備はどうなっているんだ……」
エミリオの言葉は最もだとジョブスは同意した。